優男七変化

実績はこれから作る。迷える仔羊よ。助けてくれ。

卒業式に親が来なかったyo!

今週のお題「卒業」

満開の桜

満開の桜

タイトル通り。親が中学校の卒業式に来なかった。

 

 

 

 

高校入試も終わり、もうすぐ卒業式。

式を最高のものにしようと、残りわずかな時間でも、歌や返事の練習をする。

 

 

のんびり過ごす者

受験から解放され喜ぶ者

なぜか式の練習で泣く女子

それを茶化し総バッシングをうけるコジマ

 

クラスは案外いつも通りだ。

 

そんな中、僕は悶々とした気持ちで残りの日々を過ごしていた。

 

高校で友達ができるかな。スマホ買って欲しいなー。

そんな軽いことではない。

 

中3の秋、親が離婚したのだ。

 

まだ誰にも話していない。

正確には、担任に呼び出され、心配の声をかけてもらったが

友達には言わなかった。いや、言えなかった。

 

なんてったって中学生である。

片親の友達はいたが、

当時、反抗期かつ思春期だった僕は恥ずかしくて黙っていた。

 

経済面から、父についていき、

すぐ近くの祖父の家で暮らすことになった。

弟は母についていった。離婚の理由は聞けない。

 

幸いなことに、高校受験という目標があったので

塾でガリガリ勉強し、しばらくは離婚のことを忘れることができた。

 

しかし、受験は終わってしまった。嫌でも家のことを考えてしまう。

 

卒業式の前日、担任が親に手紙を書いてくるように言った。

式の当日に、保護者受付の机で渡すと言う。最後の宿題だ。

 

 

今までありがとう。お父さんが仕事をがんばったおかげで

受験もできたし、何よりもここまで生きてこれたよ。

でも、秋のことはショックだった。

お父さんに感謝はするけど、尊敬はできないよ

 

そんなことを書いた。ちょっとした反抗だった。

 

いよいよ卒業式。

担任が手紙を集め、式の段取りを確認する。

思ったより、緊張していない。

在校生が歌う曲で入場し、卒業証書授与、校長の言葉と進む。

合唱もうまくいき、学年の先生はみな泣いていた。

保護者の席は、体育館の中央に設けられていたがなるべく見ないようにした。

 

式が無事終わり、ホームルームの時間だ。

一人ひとり、教壇に立ってみんなに最後の挨拶をする。

卒業アルバム、饅頭が配られた。

そのあとは、30分ほど時間が余り、

卒業アルバムにメッセージを交換したり、友達と思い思いの話をする。

泣いている人もいるが、結構みんな楽しそうだ。

 

アルバムにメッセージを書くため、

教室の後ろの方にある、自分の机にペンを取りにいくと

担任がそっと近づいてきた。

 

お父さん来れなかったみたいだ。あとで渡してあげてな。

 

昨日書いた手紙だ。なんだ来なかったのか。

まあいいや。今は、残りの時間を友達と楽しく過ごそう。

帰りにでも、破り捨ててやる。

 

去っていく担任の背中をぼーっと見ていると

前の方にいるコジマと目が会う。

年中、おちゃらけて人気者だったコジマだ。

 

 

 

 

 

 

彼は何とも言えない顔をした後、ニヤッと笑った。